豊平区の全地区(9地区)町内会連合会と清田区の全地区(5地区)町内会連合会の会長が2018年3月9日(金)、「日本ハム球団と真摯に向き合い、札幌ドームを活かした球場構想を検討してほしい」と、連名で秋元克広札幌市長に要望しました。

 日本ハム球団は、札幌ドームを出て札幌市南区の道立真駒内公園か北広島市きたひろしま総合運動公園予定地に新球場(ボールパーク)を造る構想を打ち出し、2018年3月末までに一定の方向性を示すとしています。

 14地区町連の会長は、同様の要望書を日本ハム球団と親会社の日本ハムにも9日付けで郵送で送りました。

 要望書の全文は次の通りです。

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札幌市長 秋元克広様

札幌ドームを活かした球場構想について(要望)

 貴職におかれましては、日ごろ、だれでもが住みやすいと感じるまちづくり、世界に輝く国際都市札幌の実現に向けてご尽力されていることに、心より敬意を表するとともに感謝を申し上げます。

 さて、プロ野球北海道日本ハムファイターズ(以下、日本ハム球団)が、本拠地の札幌ドームを出て、札幌市南区の道立真駒内公園か北広島市のきたひろしま総合運動公園予定地に自前の新球場(ボールパーク)を建設する意向であることが報道されています。報道によると、3月末までに一定の方向性を出すと言われています。

 しかし、そのようなことになれば、札幌ドームの経営が傾き、立ち行かなくなる恐れが十分予想され、識者からも指摘と警告がなされています。貴職も自ら記者会見で「北海道、札幌近郊の市場規模の中で共存していくことは難しい」と発言されているところであります。

 札幌市は、「日本ハム球団が、あくまでも新球場の建設を目指す意向であることから、札幌ドームの継続利用については大変難しいと認識している」とのことです。

 このため、札幌市と日本ハム球団はこの間、「札幌ドーム残留」について協議することはなく、新球場の建設地として「北大構内」「共進会場跡地」「きたひろしま総合運動公園予定地」「真駒内公園」について検討してきました。その過程で、北大構内と共進会場跡地は候補から脱落し、目下、北広島か真駒内かで最終検討に入っているとのことです。

 札幌ドーム周辺地域に居住するわれわれ豊平区、清田区の住民にとって、札幌ドームとそこに本拠地を置いている北海道日本ハムファイターズは、まちづくりを進めるにあたってかけがえのない存在であり、現下の状況は極めて憂慮すべき事態であると感じております。

 札幌ドームは日本ハム球団が本拠地を置いてはじめて活性化される施設です。われわれのまちづくりも、札幌ドームと日本ハム球団が本拠地を置いていることを前提に進めて参りました。

 しかしながら、日本ハム球団の新球場移転の一連の動きがある中で、札幌市から地域住民に何ら説明がないまま今日に至り、大変、遺憾に感じております。もし日本ハム球団が札幌ドームから移転した場合、札幌ドームがどうなるのか、札幌市が示してきたわれわれの地域まちづくりはどうなるのか、また地下鉄東豊線の清田方面への延伸はどうなるのか、大変、危機感を感じているところであります。

 札幌ドームは688億円もかけて造った、札幌市民、北海道民の夢がいっぱい詰まった施設です。2001年の開業以来17年がたち、札幌ドームは札幌市民、北海道民にすっかり定着し、愛着を抱く札幌市民、道民も数多くいます。札幌ドームは当初からプロ野球球団の本拠地を置くことを前提に造った大型施設です。なんとか札幌ドームを活かしてほしいと思う札幌市民は多いように見受けられます。

 また、そもそも札幌市内あるいは札幌圏にドーム球場2つは、その市場規模からいって共存は不可能であると考えます。従って、本来は、日本ハム球団が引き続き札幌市と協議し、ハード・ソフトの改善に取組み、札幌ドームを継続使用していくことが最善と考えますが、どうしても天然芝の新球場を造るということであれば、雪の降る北海道の気候風土や、建設・稼働経費を考慮すれば、屋外野球場というのが現実的な選択であろうと考えます。

 そこで一つ提案です。

 「札幌ドームを活かし、周辺地に天然芝の屋外野球場を建設する」ことを提案します。この提案は、春先や秋の寒い季節は札幌ドームを使い、夏の間は天然芝の屋外野球場を使うというものです。

※「札幌ドーム周辺地」とは、札幌市が招致を目指す2026年冬季オリンピック・パラリンピックで大会施設を計画し、大会後に「スポーツエリア構想」を掲げている地域。可能性として「札幌ドームに隣接する農業試験場用地辺り」ではいかがでしょうか。

 また、札幌市の屋外硬式野球場は円山球場と麻布球場の2か所ですが、シーズン中の週末はほぼフル稼働の状態が続いており、NPO法人北海道野球協議会からは2016年札幌市に「ナイター用照明施設付きの新球場建設要望」が提出されております。使用料が高額なドーム球場ではなく屋外野球場であれば、日本ハム球団が使用しない時にアマチュアの使用需要も考えられます。

 日本ハム球団にも、これらの事情を考慮し、ボールパークの理念を札幌ドームを含む周辺地で実現していただければと思う次第です。

 さらに、札幌ドームを日本ハム球団が使いやすいように球場の「施設改修と運営方法の見直し」も必要だと感じています。日本ハム球団が札幌ドームを出て行く決心をしたのは、球場施設と球場運営の両面で理由があるといわれているからです。

 まず施設面です。日本ハム球団は「観客席と選手(プレー)の距離が遠いこと、観客席の階段が急であること、巻き取り式の人工芝による運用で選手の体への負担が大きいことの3点」を問題点として挙げています。

 次に、球場の運営面です。日本ハム球団はファンサービス向上のため「球団と球場の一体運営」を求めています。プロ野球界で球場運営にタッチできていないのは日本ハム、巨人、ヤクルトの3球団だけです。「球団と球場の一体運営」は、プロ野球界の今の流れになっているようです。

 こうした点について札幌市と札幌ドーム株式会社は真摯に向き合い、総合的にかつ適切に判断してほしいと考えます。それが札幌ドームを活かし、ひいては札幌のまちづくりに資するものだと考えます。このような発想は、広く札幌市民の賛同と共感を得られると確信しております。

 道立真駒内公園は、自然破壊や交通渋滞などの恐れがあり、また札幌五輪の記念碑的な場所で、地域住民から反対運動が起きています。

 一方、北広島は、札幌中心部から遠く、大規模な投資に見合うだけの集客が本当にあるのでしょうか。

 その点、札幌ドームは交通アクセスも良く、集客にも心配ありません。

 日本ハムの球場として札幌市民がどこを一番望んでいるか、真駒内、北広島、札幌ドームの3者でアンケートをとれば、現在でも札幌市民の圧倒的多数は札幌ドームを望んでいると思います。

 ぜひ、札幌ドームを活用した構想で日本ハム球団と再検討していただくよう、切にお願い申し上げます。

 結びに1点申し添えます。

 札幌ドームは、札幌市が688億円かけて造った立派な施設です。内訳は札幌市が383億円、道が100億円、国の交付税が186億5000万円、経済界からの寄付が18億5000万円です。そして建設時の借金がまだ192億円(平成29年3月末)も残っています。これは平成43年度まで、札幌市民と道民と国民の税金で延々と返済していくものです。

 この様な状況で、札幌市内にドーム球場をもう一つ建設するなど本来考えられないことです。まして、札幌ドームの経営が相当厳しくなることが分かっていながら、札幌市が新たなドーム球場建設のさまざまな支援を行うことは二重投資の典型であり、無駄使いの典型になることを申し添えておきます。

  • 豊平区全9地区町内会連合会

豊平地区町内会連合会会長 中川昭一

美園地区町内会連合会会長 稲葉郁夫

月寒地区町内会連合会会長 池田博

平岸地区町内会連合会会長 斎藤昭夫

中の島地区町内会連合会会長 水落哲也

西岡地区町内会連合会会長 押木正康

福住地区町内会連合会会長 石黒信一

東月寒地区町内会連合会会長 有田京史

南平岸地区町内会連合会会長 末廣仁志

  • 清田区全5地区町内会連合会

清田地区町内会連合会会長 牧野晃

北野地区町内会連合会会長 伊藤昭夫

清田中央地区町内会連合会会長 鈴木亨

平岡地区町内会連合会会長 鎌倉功

里塚・美しが丘地区町内会連合会会長 大形修三