札幌市は2022年8月24日、市営地下鉄の全49駅と地下街オーロラタウンなど計55か所を、外国からの弾道ミサイル武力攻撃に備えて「緊急一時避難施設」に指定しました。しかし、地下鉄がない清田区民は、まったく蚊帳の外、置き去りです。

ミサイル攻撃された際の避難施設となる札幌市営地下鉄の駅(福住駅)

 2004年施行の国民保護法では、都道府県と政令市に対し、弾道ミサイル攻撃を受けた際に市民が避難する「一時避難施設」を指定するように求めています。

 以前から指定されていたのは、北1条地下駐車場と札幌駅前地下歩行空間(チカホ)の2か所だけでした。

 しかし、北朝鮮による弾道ミサイルの発射が相次いでいることから、政府は2020年12月、地下鉄駅を避難施設に指定するよう該当自治体に文書で要請しました。その結果、2021年4月以降、仙台や名古屋、大阪、東京など各都市の地下鉄駅の避難所指定が相次いでいます。

 札幌市もこの流れに沿って、新たに地下鉄駅を弾道ミサイルから市民を守る避難施設に指定しました。

 日本の地下鉄駅は地上から浅く、被害の軽減効果は少ないのではないか、との指摘もありますが、いずれにしろ、地下鉄駅をミサイル攻撃からの避難施設として活用しようという施策です。

 それにしても、札幌市がすべての地下鉄駅を一時避難施設に指定しても、地下鉄がない清田区民にはまったく関係ない話です。清田区民は、万が一、ミサイルが飛んできても避難する地下鉄駅はありません。

 札幌市は昭和54年(1979年)、南北線、東西線、東豊線の地下鉄3線(延べ50㎞)を建設する計画を立て、それに基づいて地下鉄建設を進めてきました。東豊線は清田区まで伸ばす計画でした。

 この計画のうち、いまだ実現していない区間は福住-清田間だけです。板垣武四市長(1971年~1991年)と桂信雄市長(1991年~2003年)は、清田区まで地下鉄を建設する方針でしたが、上田文雄市長(2003年~2015年)が計画を凍結してしまい、秋元克広市長(2015年~)も基本的にそれを踏襲して今日に至っています。

 その結果、清田区は、地下鉄またはJRのない唯一の区のままで、区民は交通アクセスの面で、大変な不便をかこっています。

 地下鉄駅がないためにバスターミナルもできず、清田区は交通結節点がない唯一の区でもあります。このため、地域中心核ができず、まちづくりにも支障が出ています。

 そして今回、政府が進める「大都市の地下鉄駅をミサイルの避難施設に」という施策にも見放された形です。

 ミサイルが飛んでくるというのは、万が一の事態でしょうが、今冬のような大雪被害は、気候変動が激しくなった今日、これからも毎年ありそうな事態です。そんなときも通常運行可能な地下鉄は雪国の大都市・札幌の市民生活には不可欠です。

 札幌市は、清田まで地下鉄延伸をすべきです。