地下鉄東豊線建設促進期成会連合会(会長:牧野晃清田地区町内会連合会顧問、豊平区・清田区の全町連、商工団体、企業など20団体で構成)は11月11日(月)、地下鉄東豊線を福住から清田まで延伸するよう秋元克広札幌市長に重ねて強く要望しました。

秋元市長(手前右)に地下鉄清田延伸を要望する期成会役員と顧問の市議ら

 この要望活動には、期成会から役員の町連会長や、顧問の豊平区・清田区選出の市議ら総勢19名が参加しました。

要望書を秋元市長に手交する牧野期成会会長

 まず、牧野会長が秋元市長にA4版10ページに及ぶ「要望書」を手交しました。そして牧野会長は

(1)地下鉄東豊線を清田区まで延伸し、清田方面の交通利便性を高めること

(2)イオン札幌清田店等が立地する清田地区に、地下鉄清田駅と清田バスターミナルを設置し、清田区にまちづくりの核を造ること

(3)北海道農業研究センターの土地(国道36号線と羊ケ丘通の間のエリア)を取得し、そこにアリーナ施設やGX・ラピダス関連施設等の土地活用を検討し、その大動脈として国道36号線下に地下鉄東豊線を延ばすこと

の3点を要望しました。

 続いて、これについて牧野会長が要望書の内容を要約する形で、次の5つの観点から説明しました。(牧野会長の説明は省略。要望書をご覧ください。要望書の全文はこちらから)。

[1]地下鉄は長年の切実な願い

[2]地下鉄は清田区のまちづくりの要

[3]北海道農業研究センターの土地活用―GX・ラピダスを見据えて

[4]公共交通なのだから―住民の足を確保するのは行政の責任

[5]子育て世代の転入が続く清田区―発展の芽がある要素を延伸判断に

 最後に、牧野会長は「市長は3期目に入って、地下鉄の清田延伸について具体的にどのようなご検討をされたのか、ご回答をお願いします」と質問しました。

 牧野会長の要望と質問に対して秋元市長は次の通り回答しました。

■秋元市長

期成会の要望に答える秋元市長

 ありがとうございます。今日、改めまして牧野会長はじめ期成会の皆さん、道議、市議含めまして、地下鉄の清田方面の延伸、清田区のまちづくりについての強い要望をいただきました。改めて感謝申し上げたいと思います。

 清田区の皆さんのみならず豊平区にお住いの皆さんからも、このようなご要望をいただいたということで、これは清田区だけでなく豊平区も含めたまちづくり全体、そして札幌の発展や札幌のまちづくり全体ということの皆さんの思いということで、深く受け止めさせていただきたいと思います。

要望書に目を通す秋元市長

 軌道系交通機関がない清田区においてはバス交通が中心になりますので、そういう意味では交通環境の整備は、長年の皆さんの要望でもありますし、市としての課題でもあると認識しております。

 東豊線あるいは東西線の延伸等については、当時の人口の状況がまだ右肩上がりで、その後の人口増加も見込める時代での国への免許申請でした。

 両線とも累積赤字はありますが、これは建設費に相当な金額がかかっているからです。しかし、単年度の経常収支は黒字になっております。ということは、徐々にではありますが、両線の累積赤字は解消されていく見込みであります。

 一方で、平成12年(2000年)に第4次札幌市長期総合計画が出された時には、まだ若干ですが人口増を見込んだ状態でありました。

 しかし、平成23年(2011年)に福住から清田までの延伸を検討したときには、すでに人口減少が見込まれているという状況になっておりまして、単年度の経常収支についても黒字にならないという状況で、大変厳しい数字がございました。

 そういう状況の中で、まずは需要を増やしていかなければ国への免許申請を出してはいけないという状況がありましたので、札幌ドーム周辺の土地利用等を含めて、全体の人口が減少していく中でも、この地下鉄の需要が増えていく、そのための土地利用などについて検討を進めてきたところです。

 一つはオリンピックを契機にして、北海道農業研究センターが使っている土地の活用について国ともいろんな交渉をしてきたところであります。

 現時点においては、北海道農業研究センターの土地は国として農業試験ということで使っておりますので、国からは「国家プロジェクトのような形でなければ、なかなか譲渡の検討の対象にならない」と言われております。

 それで、先ほどお話したように、例えば冬季オリンピックの開催などの国家プロジェクトの際に、その土地を利用させてもらえないかということを交渉してきたところであります。

 そういう意味では、期成会の要望書の中にもありましたが、今後、千歳の半導体製造拠点であったり、水素の活用、いわゆるGXですね、こういったことを国が進めようとしている。

 そこで、そういう視点で北海道農業研究センターの土地活用について検討できないかと我々としても思っております。

 いずれにしましても、国家プロジェクトとして北海道農業研究センターの土地を使っていく、そういう検討は進めていかなくてはならないと思っております。

 現時点においては、ドームのスポーツ拠点としての活用、そして9月に民間2社からの提案がありました。

 ドーム周辺の土地利用についても一歩進んだところでありますので、そういった点を進めながら、先ほどご要望があった点(北海道農業研究センターの土地を活用してGX・ラピダス関連施設等を整備すること等)の検討を進めていければと思っております。

 いずれにしましても、国への免許申請という中で、事業採算性は無視できない状況であります。しかし、地下鉄が札幌にとって重要だということについては、皆さんと同じ思いだということ、これはこれまでもお話させていただいてきたところであり、変わりはありません。

 何とか事業採算性を確保するための需要増に引き続き取り組みつつ、全体の計画にしていけるかどうかということの検討を具体的に進めていきたい、このように思っているところです。

地下鉄期成会役員(前列)と顧問の豊平区・清田区の市議(後列)

 本日、牧野会長からお話いただいた点、清田区、豊平区の町連、道議・市議の皆さん、そして住民の総意ということで、改めて重く受け止めさせていただき、今後の検討を進めていきたいと思います。どうぞご理解のほどをよろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。

■牧野会長

 ありがとうございます。期成会から何かご意見ありますか。

■三上市議

立って発言する三上洋祐市議

 豊平区選出の三上洋祐であります。私が初当選したときは、清田も同じ豊平区でございまして、清田区の皆さんの願いは私もまた同じ願いであり、同様の考えを持っています。

 当初から清田までの延伸、いわゆる地下鉄50キロ構想の推進というものには、深い関心を持って強く要望をしてまいりました。

 今日この要望書を拝見しましても、実に明快で合理的な要望であります。

 採算性のことをあげたら、身も蓋もなくなるわけでありまして、ダメなものをいくら言っても、押しても扉は開かないことになります。

 しかし、そこをですね、やはり政治的判断で、あらゆる手立てを講じてですね、この扉を開いていただきたい。期成会の顧問を仰せつかっている議員の考えは、みな私と同様だと思います。

 ないものねだりみたいには取らないでほしい。市長の思いは分かっているんです。「同様の思い」だと。ただ、国の制約を超えるためには、まだまだ努力しなけりゃならない要素があるということでございます。

 幸いに今、ここ(要望書)に上がっているように、GXの問題、ラピダスの問題、そして国家戦略特区に北海道・札幌が選ばれたこと。これは、市街化調整区域の有効活用等も含めてのことでありまして、事業にあたっては超法規的措置も講じられるやに聞いております。

 どうか市長には、これまで通りといいますか、これまで以上に前向きな姿勢で地域の要望に応えていただきたい。

 この要望は清田区・豊平区の問題だけではありません。札幌全体、今後の札幌100年の大計に問われることでございますので、どうかご理解賜りますよう切にお願い申し上げます。

■川島期成会事務局長

清田ふれあい区民まつり会場で撮った写真。満面の笑みの秋元市長(左)と知野清田区長。こののぼり旗の所で撮ろうと言ったのは秋元市長だった

 市長は今年7月13日、清田ふれあい区民まつりに来賓として来られました。その際、「清田区へ地下鉄を」と書かれた期成会ののぼり旗と一緒に、秋元市長の写真を撮らしていただきました。

 市長自らのぼり旗の所に行き、満面の笑みで写真に収まっていただいた写真です。その時の市長のお気持ちというのは、どういうお気持ちだったのでしょうか。

■秋元市長

 (笑い)さきほど申し上げましたように、地下鉄の建設、とりわけ当初、計画された清田方面含めて、そして雪のある札幌の中では、地下鉄は非常に有効な手段であると思っております。

 まちづくりを進めていくうえで、地下鉄の延伸について、過去に計画があったもの(福住―清田間)、そこを目指していくという所については、「全く同じ思い」ということで、これはこれまでお話してきたとおりです。

 一方で、先ほど言いましたように、今の制度では、クリアしていかなければならないものがあるのも事実なので、それをクリアしていくために、やはり需要が増加していく具体的な方向性を示していかねばならない。

 課題はありますが、向かっていきましょうという思いで、のぼり旗の所に立たせていただきました。

■川島事務局長

 市長も期成会に大いに賛成しているんだなと。

■秋元市長

 いや、まったく反対なんてしていません。誤解のないように(笑い)。まったく箸にも棒にもかからないというような思いとか、ないものねだりをしているとか、そんなことはありません。

 やはり積み上げていかねばならないことがあるのも事実なので、そこをクリアしていくために我々も努力していかなくてはという思いです。

■佐藤事務局次長

 私は以前、豊平区菊水で会社を経営していましたが、道路拡幅のため札幌市に協力して菊水を引き払い、会社を清田区に移転させました。

 当時、地下鉄を清田まで建設するという市の計画があったから清田にしたのです。市の計画ですから実現するものと思い、すなおに立ち退きに応じたのです。

 自宅も当時、屯田にありましたが、清田まで通勤が大変なので、自宅も清田に移しました。

 私と同じような考えで清田区に引っ越した人は結構いるんですよ。しかし、前市長の時に延伸にストップがかかり、非常に残念です。

 福住からあと4.2キロ延ばせば、長期計画で描いた地下鉄建設が完成するんです。なんとか市長在任中に、この残った4.2キロを完成させて、先人が構想した地下鉄の計画を完成させていただきたい。

 そうすると、私どもは「秋元市長は長期の計画をしっかりと仕上げてくださった名市長さん」という具合に評価させていただきますので、ぜひ、地下鉄を清田までということを実現していただきたい。

 今から5年ほど前、市長さんから、こういった期成会の要望の場で、「経済界の人からも延伸の声が上がることを期待している。そうした声があれば、市としてももっと前向きに考えます」とのお話を頂戴しました。

 私は、しがない零細企業の社長ですが、一生懸命頑張りましてね、清田区の経済界の方々にお願いに歩きました。

 そして、地下鉄期成会の役員もお引き受けいただいた方もいらっしゃるというのが現状であります。ぜひ、よろしく地下鉄延伸をお考えいただきたいとお願い申し上げます。

■秋元市長

 ありがとうございます。市の長期計画を信頼して市に協力した中で会社の事業をいろいろされているとのこと。しかし、地下鉄延伸が実現に向けての状況になっていないことについては申し訳なく思っております。

 ただ、やはり、その長期計画を作った頃の時代背景ですね、平成12年(2000年)の長期計画では「2020年には札幌の人口210万人」という想定でした。で、その数字から乖離が出てきているということです。

 ですから、そういう人口減少が目の前に来ている状況の中で、今後の見通しをしっかりと作っていかなければならないということであります。

 我々も努力していきますし、皆さん方もいろいろとお声をかけて(地下鉄延伸ということで)一つになっていただいているということを重く受け止めていきたいと思っております。我々も頑張っていきたい。

■牧野会長

 はい、ありがとうございました。

(まだ何人かの町連会長が意見を言おうとしましたが、予定した時間となり、今回はこれにて終了となりました)