札幌市は目下、札幌ドームに隣接する北海道農業研究センターの広大な敷地(札幌市豊平区羊ヶ丘)を「スポーツパーク」として開発する基本構想の策定作業を行っています。
そして令和3年度、市は基本計画策定や環境概況調査など関連予算を3810万円(基本計画策定2372万5000円、環境概況調査1327万5000円、冬季ハイパフォーマンスセンター誘致費110万円)を計上し、スポーツパーク建設に向け本格的に動き出します。
国道36号線と羊ヶ丘通に挟まれた約60ヘクタールの北海道農業研究センターの土地活用は、地下鉄東豊線の清田方面への延長に弾みがつき、清田区のまちづくりにも大きな好影響を及ぼすものと期待されます。
札幌市は2030年の札幌冬季五輪招致に合わせて、開閉会式を行う札幌ドーム隣接の農業研究センターの土地を「スポーツパーク」として開発する構想を2019年に打ちだしました(北海道新聞2019年 7月27日)。
1972年の札幌冬季五輪のアイスホッケー会場だった月寒体育館が老朽化したことから、新たに札幌ドーム隣接地にアイスホッケー場を新設し、月寒体育館隣の月寒屋外競技場(ラグビー場)もドーム隣接地に移転させます。さらに、冬季競技の強化拠点となる国のハイパフォーマンスセンターを誘致し、建設する計画です。
札幌市は令和2年度、9300万円の予算で基本構想の策定に着手しました。市スポーツ局によると、基本構想は今年2021年夏ごろまでに策定するそうです。
これを踏まえて、令和3年度は2372万5000円の予算で基本計画を策定します。内訳は基本計画策定に2190万円、有識者会議費用として182万5000円を予定。有識者会議を設置して検討するということで、市の本気度がうかがわれます。
基本計画策定について、市は「スポーツや集客交流産業の振興に関わる高次機能交流拠点である札幌ドーム周辺について、将来的な在り方に関する具体的な検討等を推進する」としています。
また、札幌ドーム周辺エリアにおける環境概況調査(動植物に関する状況把握)等を、予算1327万5000円で行います。
また、2019年度から行っている「アスリートと協力した冬季版ハイパフォーマンススポーツセンター(宿泊施設付き)の誘致活動」を2021年度も引き続き行います。夏の競技のハイパフォーマンスセンターは東京都にありますが、冬季競技については全国どこにもないのが現状です。
北海道農業研究センターは、国道36号線と羊ヶ丘通にはさまれた区域に水稲研究開発のための水田のほか、職員住宅(4階建て)10棟などがあります。職員住宅は老朽化し、9棟が無人だといいます。また、「市街化し車が行きかう国道36線と羊ケ丘通に挟まれた土地で稲作研究を続けるのはいかがなものか。もっと有効な土地活用の仕方があるのではないか」といった声が地元ではあります。
札幌市は、日本ハムが2023年に札幌ドームを撤退し、北広島ボールパークに移転してしまうことに強い危機感を持っています。札幌ドーム単騎では、運営が苦しくなることを見越し、スポーツ施設と集客施設を集積したスポーツ交流拠点を札幌ドーム周辺に造るという狙いもあります。
こうした動きは、清田区民にとっても大きな関心事であることは間違いありません。清田までの地下鉄延伸に弾みがつくからです。
スポーツパークが整備されれば、当然、その交通手段をどうするのか、地下鉄を福住以遠に延伸しようという機運が浮上するでしょう。そして札幌ドームやスポーツパークまで地下鉄を延伸できれば、清田まではあとわずかです。
秋元市長は「清田方面への地下鉄延伸は、北海道農業研究センターの土地活用を見て検討したい」と、地下鉄東豊線建設期成会に何度も言ってきた経緯があります。