清田区と豊平区の町内会連合会などでつくる地下鉄東豊線建設促進期成会連合会(会長:牧野晃清田地区町内会連合会会長)は11月24日(火)、秋元札幌市長に「地下鉄を清田区まで延長してほしい」という要望書を手渡し、重ねて地下鉄延伸を強く要望しました。

 要望は毎年行っていますが、今年はコロナの影響で、期成会側と市長とのやり取りは短く切り上げました。その分、要望書は例年より少し詳しく長めに記載しています。

 期成会と秋元市長のやり取り次の通りです。

○牧野会長

地下鉄延伸の要望書を秋元市長(手前)に手渡す牧野会長

 本日は、コロナの関係で人数をぐっと絞りまして、期成会役員である清田中央町連の鈴木亨会長と私、事務局長を含めて3名で伺いました。よろしくお願いいたします。それでは、当期成会を代表いたしまして、私から市長に地下鉄延伸の要望書を提出させていただきます。

<牧野会長から秋元市長に要望書を手交>

○牧野会長

 それでは、要望書の主旨説明に入らせていただきます。ただいま、市長にお渡しした要望書ですが、今年度は5つの視点でまとめております。お時間の都合もございますので、主な視点だけを簡単にご説明させていただきます。

 まず1点目は、清田地区の地域交流拠点の整備の問題です。これまでまったく進展のなかった清田地区の地域交流拠点に関しまして、10月末に札幌市は「地域交流拠点清田の拠点機能向上に向けた官民連携によるまちづくりの基本的な考え方」を発表しました。何とか清田地区の地域交流拠点の実現を動かそうとする姿勢は評価しますが、距離が1.5㎞離れている平岡地区(注:イオン平岡)と清田地区をどう連携させるのか、どう清田地区の拠点形成していくのか、具体像が見えていないと思います。

 期成会としては、清田地区の地域交流拠点の形成には、市の計画にあった地下鉄が絶対に必要と考えております。地域交流拠点の形成と合わせて、清田方面への地下鉄延伸を、ぜひご決断いただきたいと思います。

 2点目は、冬季オリンピック招致に関連して札幌ドーム周辺の農業研究センターの土地の利活用の視点でございます。昨年7月に、札幌ドーム周辺の北海道農業研究センターの敷地約60ヘクタールに札幌市が「スポーツパーク」をつくる構想に着手したことが報道されました。これは、2030年冬季五輪・パラリンピック招致に合わせて、老朽化した月寒体育館の後継施設や冬季版ハイパフォーマンスセンター等が並ぶ公園にするというものです。

 これは、私たちが毎年要望してきた項目の一つであり、福住―清田間の活性化に大きく寄与し、地下鉄延伸に弾みがつくものと考えております。従いまして、2030年冬季五輪の招致にあたっても、北海道農業研究センターの土地活用と共に、地下鉄を清田まで延伸し、後世に引き継ぐ都市機能として整備していただきたい。

 3点目は、地下鉄の延伸は採算性がないから困難だということでありますが、採算性だけでなく、様々な観点から地下鉄の延伸をお願いするという視点であります。

 札幌市はここ数年、採算性の観点から地下鉄の延伸は困難と言ってきました。確かに、採算性は重要ですが、東西線や東豊線は、(市が「国の基準」と言ってきた)30年で累積黒字にはなっていません。しかし、市営地下鉄は公営交通なので、(採算性の観点だけでなく)、市民の暮らしを支えるため、交通利便性を高めるため、地域活性化のためなど、様々な観点から、時の市長が判断して建設してきたのではないでしょうか。

 清田方面だけ採算性を持ち出すのは我々としては全く納得ができません。清田方面の延伸についても、いろいろな観点から総合的に判断していただきたい。

 そのほかに、今年度の要望書は、新千歳空港や北広島方面の交流人口を取り込む視点と、清田区の高いポテンシャルの活用という5つの視点でまとめております。

 要望書をお読みいただいてご理解いただきたい。一日も早い地下鉄延伸決定のご判断と着工を地域住民の総意として、ここに強く要望致します。

○秋元市長

秋元市長

 今日はわざわざお越しいただいてありがとうございます。清田区の会長さんには日ごろから大変お世話になりまして、この場を借りて御礼申し上げます。

 5点ということでご要望いただきました。地下鉄の清田方面への延伸については、住民の皆様方の長年にわたる望みだということは十分認識しております。

 これまで人口の伸びの状況や交通混雑の状況など、市民生活にとって大量交通機関である地下鉄が必要かどうかなどを議論して、地下鉄は建設されてきたところであります。

 加えて、採算性ということも計画の中に必ず盛り込まなければならない項目でございます。これまでの南北線、東西線、東豊線の建設の時は、人口が延びている状況の中で将来推計を行い、採算性が取れるということを計画段階では示すことができたという状況であります。

 先ほど牧野会長から、現実的には計画と実際のところの乖離が起きているのではないか、他の路線でも採算性が十分ではないのではないか、というご指摘がございました。

 確かに、現実的にはそういう状況であります。計画段階との乖離については、人口の伸び等が思うようにいかなかったということがあります。それでも、南北線と東西線は、毎年の累積の赤字解消に向けて、黒字化が進んできており、借り入れや累積赤字は縮小してきているという状況であります。残念ながら、東豊線は当初計画から大きく伸びが乖離しているという状況があります。

 そこで、これから人口減少期に入るということもあり、将来推計の中での採算性の議論については、定住人口だけでなく、交流人口や様々な民間施設の動向などいろいろと加味しながら、検討していかなければならないと考えております。現状ではなかなか数字的には厳しい状況ではあります。

 札幌ドーム周辺の土地利用についてですが、これは冬季オリンピックの招致を契機に、冬季のハイパフォーマンスセンターの招致や老朽化した市有施設の機能を展開することなども含めて、ドーム周辺の土地利用について引き続き検討を進めていきたいと考えております。

 そして清田区のまちづくりに関しての件です。つまり清田区役所周辺の清田地区を地域交流拠点に位置付けていますが、なかなか進んでいない状況がございます。

 清田区は比較的新しい区であり、民間施設を含め建物が建て替えの時期に来ているという状況ではありません。都心のように民間施設等が老朽化して、建て替えの時期に合わせてまちづくりをしていくというのは、清田区役所周辺ではなかなか難しい状況です。もう少し時間がかかるという状況です。

 ただ、ご要望の中にもありましたように、建て替え時期を待って、まちづくりをしていくというだけでは、拠点形成にはつながりません。一歩でも二歩でもまちづくりをしていきたいという思いの中で、平岡地区の民間企業(注:イオン平岡のこと)と清田地区との連携を深めていきたいいきたいと考えております。

 距離が離れているので、この両地区の移動をどうしていくのかを検討していきます。また、平岡地区(注:イオン平岡)で交流施設ができるという状況があっても、清田地区側にもやはりそういう場が必要だと思っておりますので、区役所前の広場の活用など具体的な検討を進めていきたいと考えているところであります。

○鈴木亨清田中央町内会連合会会長

 清田区民センターンの移転についてうかがいます。10月30日に札幌市は「地域交流拠点清田の拠点機能向上に向けた官民連携によるまちづくりの基本的な考え方」を示されましたが、その中で、イオン平岡の機能強化と連携して地域交流拠点清田のにぎわい・交流の創出を図るというものがあり、地域としては大いに期待しております。

 ただし、私たちは、イオン平岡と連携した取り組みだけでなく、地域交流拠点の本丸である清田区役所周辺の清田地区そのもののまちづくりを求めております。なぜなら、清田地区の地域交流拠点形成に向けて具体的に一つ一つ積み重ねていくことが、清田区の人口増につながり、まさしく地下鉄延伸の実現につながると考えているからです。

 区民センターの区役所近くへの移転については、施設の耐用年数を考えると、20年以上先になると思いますが、10年20年というスパンではなく、1年、2年後には計画案が出てくると私たちは理解しております。この点について市長としてどう進めていくのか、お考えをお聞きしたいと思います。

○秋元市長

 区民センターの移転について、地域の方々からご要望があることは承知しております。鈴木会長からもお話がございましたように、市有施設の建て替えのための基準は、大体50年とか、少し延命化して60年持たせようとしております。従って清田区民センターの耐用年数はまだある状況であります。

 しかしながら、清田区民センターは区役所等の他の施設から距離があるので、使い勝手が良くないという点で、住民の方々から区役所近くへの移転のご要望があることは承知しております。

 単純に施設の建て替え時期を待つということになると、少し先ということになりますが、「老朽化で建て替え」という視点ではなく、現在の区民センターを他の利用といいますか、別な施設への転用、活用というようなことを検討していく、他に使うことがあるので区民センターの建て替えを少し前倒ししていく、そういう検討を進めていきたいと思っているところであります。

 具体的に、区民センターの跡をどういう施設がどう使うのかなどの検討を進め、計画を作っていくには若干のお時間をいただくことになろうかと思いますが、そういう方向で検討を進めていきたいと思います。

 その前に、すぐできることとして、区役所前の広場のこと(注:何らかの改修)について、具体的な検討予算を来年度に付けていきたいと考えています。

○鈴木会長

 我々としては区民センターの移転・建設は2~3年以内に計画案が出てくると期待しております。

○牧野会長

 2030年冬季オリンピック招致に関連して、農業研究センターの土地を利用して、そこにスポーツパークを設立するということが新聞報道されています。重要なことです。

 札幌ドーム周辺を活性化することによって、地下鉄の駅を造らなければならない状況になることもありますので、地下鉄延伸に弾みがつくと思っております。その中心になるハイパフォーマンスセンターの招致というのは今、どのようになっているのでしょうか。

○秋元市長

 国のハイパフォーマンスセンターは東京にあり、これは夏のスポーツ競技が中心の施設になっております。

 北海道には、冬季オリンピックに参加した選手、活躍した選手がたくさんいらっしゃって、オリンピアンズという一つの協議体をつくっていただいて、子供たちの指導だとかに取り組んでいただいています。そういった選手や関係者からも、スキーやスケートなどの冬の競技に特化した施設を造ってほしいという声があります。

 国の方でも今後、東京にあるハイパフォーマンスセンターの拡充のようなことも計画されている状況です。そこで、札幌市としては冬のスポーツを強化するものを造っていただきたいという要望を進めているところであります。 

 地元の国会議員の方々、オリンピック関係の方々の総意で、この実現に向けた運動を高めていきたいと思っております。

 2030年冬季オリンピックの招致計画は最終的にはまだ修正をしている状況であり、2020東京オリンピックが1年延びてしまったということもあって、IOCとのいろいろな協議が止まっているという状況であります。

 そういう意味で、2030年の招致活動自体が少しスケジュール的に先延ばしの状況になっています。我々としては、いつスタートしても良いような準備と検討を進めていきたいと思っています。