地下鉄東豊線建設促進期成会は12月8日(水)、秋元克広札幌市長に「地下鉄を清田区まで延長してほしい」と改めて強く要望しました。

秋元市長ら市側(左)に地下鉄延伸を要望する牧野会長ら期成会代表団(右)=12月8日、札幌市役所

 これに対し秋元市長は「清田区民の思いは十分承知しているが、黒字化が難しい」と述べ、従来と変わらない回答に終始し、話し合いは平行線でした。

 市長要望の後、同様の要望を札幌市議会の細川正人議長にも行いました。

 例年だと、構成団体の会長全員と豊平、清田両区の市議、道議も要望に参加しますが、今年はコロナ禍のため昨年に続き、人数を絞って要望活動を行いました。参加したのは、牧野会長のほか平目里塚・美しが丘町連会長、鈴木清田中央町連会長、中川豊平町連会長、有田東月寒町連会長、そして事務局員1名の計6名です。

 市側は秋元市長のほか、村瀬都市計画担当局長、坪田総合交通計画部長、小林交通計画課長が出席しました。

 牧野会長は、要望書を秋元市長に提出し、次の2点を要望しました。

(1)市営地下鉄を清田区まで延長してほしい。

(2)地域交流拠点清田に地下鉄駅の設置を求める。

 地下鉄延伸を求める理由と根拠について、牧野会長は次の6点を挙げて説明しました。

①延伸は清田区民の切実な願い。積雪寒冷の札幌市において地下鉄は快適な高速交通機関だが、清田区民にその恩恵はない。

②地下鉄延伸を盛り込んだ清田区のまちづくりプランを作るべき。市内17カ所の地域交流拠点で地下鉄もJRもないのは清田だけ。清田区が誕生して24年たつが、この間、札幌市は地下鉄延伸を含めてハード面で何もしてこなかった。強い不満を持っている。

③市は、札幌ドーム隣接の北海道農業研究センターの土地に、アリーナや屋外・屋内競技場、飲食・物販施設などを整備するスポーツ交流拠点建設を進める方針を打ち出している。これは2030札幌冬季五輪が招致されれば、その会場にもなる施設。スポーツ拠点には地下鉄延伸が不可欠となる。ぜひ福住から延伸してほしい。

④かつて札幌の街は北海道農業研究センターまでだったかもしれない。しかし、今はその先に清田区が開け、北広島市や恵庭市の大型商業施設、工業団地が続いている。市営地下鉄の乗降客を増やすには、新千歳空港の乗降客や北広島方面の大型商業施設の利用客、工業団地の通勤客などの取り込みが重要。地図を見れば、地下鉄が福住止まりというのはいかにも中途で止まっている感がする。

⑤清田区には人口増のポテンシャルがある。交通不便さで確かに人口は減る傾向にあるが、緑が多い清田区は子育て世代の人口はむしろ増えている。地下鉄が来れば、人口増に転じるの明らかだ。

⑥公営交通は何のためにあるのか。市は採算性だけで「清田延伸は困難」というが、全国の都市地下鉄はどこも多くの累積赤字を出しながらも建設・運営されてきた。公営交通だから、各都市とも「市民の足を確保する」ということを行政の責任と考え、採算性だけでない総合的な判断をしてきた結果ではないのか。札幌市営地下鉄も東西線、東豊線は累積赤字を抱えて運営されている。福住―清田間のみ「採算性」を持ち出し「困難」というのは不公平だ。

秋元市長

 こうした指摘に秋元市長は次のように述べました。

「皆さんが望んでいることは承知しています。私も市長就任以降、清田に行ったとき必ず地下鉄延伸の話を頂いています。軌道系交通機関がない、札幌都心部へ出るのに時間がかかる、特に冬の交通事情を考えると、課題として大きく認識しています。皆さんの強い思いは十分承知しています。清田区の交通環境の改善は、何らかの形でやりたいと思っています。まちづくりの拠点についても皆さんと同じ思いです」
「一方で、地下鉄延伸工事は多額の費用がかかってきます。交通局として累積赤字を抱えながらの新規事業になります。事業採算性を無視してはできません。確かに、東豊線、東西線は累積赤字があります。しかし、南北線と東西線は単年度黒字を出すまでに改善してきました。東豊線はそこまで至っていません。延長してもなかなか黒字化ができない状況です。やはり、事業採算性を見極めていきたい。ご理解をお願いします」
「地下鉄を含めて清田区方面の交通改善をしっかりと議論・検討していきたいと思っています」
「また、清田区のまちづくり拠点(地域交流拠点清田)づくりと、それに関連する清田区民センターの区役所付近への移転新築については、皆さんの声を聞いて進めていきたい」。